11/7-8 第26期竜王戦七番勝負 第3局 ▲森内俊之名人-△渡辺明竜王

3戦連続阿久津流求線矢倉、竜王が意地でぶつけてきた。研究の成果は44手目△22玉。堅く深く守って、細い攻めをつなぎきる、竜王の信条のような将棋を実現した。棋譜コメ通り、76手目あたりは盤上に攻め駒は角金2枚、持ち駒に銀と歩4枚しかない。ほんとにつながるの?と心配になる陣容だった。終盤2回ほど間違えて難しくしてしまったようだが、玉型の堅さが生きて土俵際残した。113手目▲56桂が詰めろ逃れの詰めろ、のはずが、角を67ではなく69と裏から打てば即詰みというのもドラマ。

森内名人としては同じ戦型で2勝1敗だから不満はないだろう。次回は後手番だが秘策はあるのだろうか。少なくとも次々回の先手番ではまた何か研究の成果が出てくるはず。結局3戦連続で竜王が森内名人の研究を乗り越えるためにリソースを費やさざるを得なかったように、森内名人の手のひらで踊らされているような気がする。ここで変化するのが羽生三冠だろうけど、この2人は真正面から対峙し続けるように。そうなると森内名人の研究が勝るのではと。依然、森内ペースかと。

王座戦5番勝負が熟成したジューシーな甘くて濃厚な桃のような感じで、この竜王戦は大人の滋味あふれる通な逸品のような。第4局が楽しみ。まだ急戦矢倉だったら引く。