NYRA控除率醜聞その2
前回以降の経緯
- 2012/5/14 NYRA理事会がCOO Ellen McClainを新理事長に、倫理・リスクマネジメント・コンプラなどを担当するsecretaryにKenneth Handal(弁護士で40年来そっち方面を専門にしてたらしい)を任命。(NYRA Names New Executives)
- 2012/5/15 AqueductのcasinoからNYRAへの分配金(4月実績400万ドル)差し止め実施、NYRAフランチャイズ契約打ち切りの可能性が州関係者より示唆。また前日の新人事も不適切、NYRAの定款に違反していて州としても有効とは認められない。むしろNYRAは自ら状況を悪化させていると。NYSRWBとFranchise Oversight委員会も怒りのコメント。その他、Aqueduct競馬場での冬春開催での事故多発の問題、Saratogaでの厩舎労働者への基本的な生活条件の整備の問題、どちらも解決できていないとも。この際、叩かれるだけ叩かれてる。 (Regulators Blast NYRA, Question Franchise | BloodHorse.com)
- 2012/5/16 2名選出の批判に対してNYRAのレスポンス。SRWBもFOBも役員任命の権限は持っていないし、SRWBからは暫定の運営計画を出すようになどとレターが送られてきていたので、そうしたまでと。(NYRA Statement – Wednesday, May 16)
- 2012/5/22 理事会の全面刷新、NYRAからNY州へ運営主体が移る方針が決定 (New York Racing Association agrees to overhaul board and give control to state)
- 2012/6/16 Andrew Cuomo NYRA知事と議員らと合意のもと、NYRAフランチャイズをNY州が3年間接収する法案が提出される。後述。(Cuomo, Lawmakers Agree on NYRA Bill | BloodHorse.com)
概要 of "New York State Racing Franchise Accountability and Transparency Act of 2012"
- 現状のNYRA理事会に変わるものとして New York Racing Association Reorganization Board (以下、委員会)を創設する。
- 委員会は定員17名。現NYRA理事会から8名、州から5名、上院・下院院内総務から各2名ずつを任命。他に投票権のない2名が州生産組合とNYRAホースメングループから選出され、危機的な経済的懸念と馬の健康に関わる懸念に関する助言を行う(なお現状のNYRA理事会は定員25名で11名が州による任命)。
- 委員会は3年間の暫定統治の終了する前の180日間で、NYRAが将来どのようになるべきかレポートを提出する必要がある
- 委員会のメンバーは毎年、委員自身とその配偶者や子供が持つ競馬関連の資産を公開する義務がある
法案によると、その目的は「州競馬フランチャイズを透明性と説明責任をもって運営することによって、ファンや馬主や生産者を含む、競馬におけるすべての利害関係者の最高の利益になるように」(in the best interest of all stakeholders in horse racing, including fans, owners and breeders, by managing the state racing franchise with transparency and accountability)取り組む、とある。
感想
会期末なので今週にも法案は採択されるようです。州としては目論見通りに展開できましたね。
初歩的なミスをしてそれを隠したNYRAから運営権を取り上げることは当然ですが、
州が運営したから経営や安全性の諸問題が解決されるというわけではないと思うので、そこらへんどうなんでしょ。
そもそも誤った控除率を見逃していたのはNYRAだけではないわけですし。
あと控除率の件、昨年夏のSaratoga開催中に発表しようとしたが政治的圧力の介入があった、という元CEO Haywardのメールの話( We originally had thought that we would announce this for Saratoga but political forces intervened.)も見ると真偽は不明ですが、どうにもこうにも何とも何とも。
裏にあるのは土地問題の半?合法的な解決とかなんですかね。さすがにそこに結びつけるのは無理筋ですか。
