12/20 棋王戦 挑決トーナメント敗者組 永瀬拓矢六段-羽生善治三冠
永瀬が対羽生戦2戦2勝と。
相矢倉、46銀37桂から25桂で先日の竜王戦第4/5局と同型。永瀬は前日も研究していたという棋譜コメ。59手目▲44歩のところで羽生は森内同様の△45馬引き。87手目▲66桂が狙いの一手だったようだ。研究の成果というとハメたような印象になるがそういう水準の話じゃないよな。

12/24 棋王戦 挑決第1局 永瀬拓矢六段-三浦弘行九段
相矢倉にはせずにみうみうは相掛かりに誘導。研究を避けたか。ちょっと双方動きづらいかなという展開から三浦が攻めを組み立て。それに対して永瀬のじっくりと受ける。やっぱりこの腰の入った受けが永瀬の持ち味で。丸裸の玉だけど遠い。最終盤は完璧な寄せ。
みうみうにも挑戦者になってほしいけど、永瀬vsあきらたんも渋くていいよな。40代が絡まないタイトル戦だけど。

12/10

電王戦は鮮度の短い企画だと思う。勝負は拮抗しないとつまらない。人間の知能vs電子の計算能力という対決の構図はやはりコンピュータ側に制約を持たせないと人間不利は明らか。

今回の結果が多少関係するかもしれないが第4回は開催しても、やっても盛り上がるかという意味で第5回はどうだろう。

第2回は将棋ファン以外にも広く認識され反響を得た大成功のイベントだった。そのうえこの第3回を棋界の外までわかりやすく伝わる仕掛けを設けて一大イベントに昇華させたドワンゴの腕力にはおどろいたね。安倍晋三首相に振り駒をしてもらうわ、開催場所はもちろん、ソニー、日産やローソン(おやつタイアップはなるほど)などのスポンサーの巻き込み方。

12/13 第39回棋王戦挑決トーナメント ▲三浦弘行九段-△永瀬拓矢六段

持将棋間近までもつれた。死闘。

横歩取らずで相掛かり調。15手目▲58玉は意外な一手で、三浦はちょっと突っ張った指し方で、永瀬はここは棋風というだけでなく相手の出方が異形なので低く構えて受けの基調。浮いてる先手飛車を牽制しつつ相手の攻めを流しながら陣形を盛り上げて7筋から攻勢をかける。いったんは仕留めたかに見えたが、三浦は入玉の進路を開拓。狭いながらも桂馬が要所に効いてするするっと。大駒は3枚、点数は十分。挑決進出を決めた。挑戦権獲得まであと1勝。

当日ひふみん立会人で当然感想戦に参加。終局後の写真が面白くなってしまった・・・

11/28-29 第26期竜王戦七番勝負 第5局 ▲森内俊之名人-△渡辺明竜王

第4局と同じ進行。ダブル往復ビンタ。将棋界の今年の流行語の1つは往復ビンタですかね。
羽生三冠だったら変化球を投げるでしょうが、居飛車本格派の頂点の2人だから引き下がれない。
5局やって全部矢倉で2つの進行しかない。一瞬詰まらんシリーズに思われそうだけど、竜王vs名人のプライドの衝突という図式だから。負けた方は精神的苦痛が尋常じゃないよな。完全に打ちのめされたわけで。
今期の名人戦同様に、森内名人の懐が深すぎる。突き進んでももう1歩届かない。手駒が初めから1枚多いような手厚い受け。ただの受けではなくて68銀のような積極的な志向。竜王の細い攻めを紡ぐ技術を持ってしても、次第にほころびを見せて、繕う余裕を失わせて、切れていく。

既に詰みがあるのに指し続けた竜王の無念に他人には理解しえないつらさが垣間見えた。

竜王名人は今期に賭けていたような大爆発で、来期の名人戦竜王戦はどんな研究成果を開陳するのだろう。

20代のうち9年間保持し続けた冠を失った前竜王の次回作に期待したい。あと渡辺明竜王と言えない違和感。呼び名をどうしたらいいのか。

11/21-22 第26期竜王戦七番勝負 第4局 ▲渡辺明竜王-△森内俊之名人

またも矢倉、でも急戦ではなく46銀37桂で定跡の流れに。68手目△44馬が名人の趣向。2日目ニコ生で羽生三冠が放送開始当初から言っていたようにこの存在が大きかった。自陣を厚く守り、相手玉を間接的に睨む好位置。1日目で75手進む早い展開で、2日目午前中で終わってしまうのかも(羽生三冠の解説が決まった時点から有休申請してたのに・・)と不安はあったが、2日目はゆっくりとして、これが前期の竜王戦と違って形勢はおおむね均衡が撮れていたわけで楽しめた。しかもニコ生の羽生三冠は的確な解説をするだけでなく、視聴者からの粒ぞろいの良質問(ほんと今回のは粒ぞろいだった)ににこやかに回答しててこれは休んだ甲斐があったと。終盤、自分の対局のように深く読んでいて、前日も対局だったのに偉すぎる。
閑話休題
渡辺竜王の細い攻めをつなぐ技術と、森内名人の手厚い守り、102手目△53金などは棋風そのもの。羽生も竜王も53馬を予想していた。
名人の3勝1敗。さて10連覇止めて竜王名人なるか。

11/15 第39期棋王戦挑決トーナメント 2局

羽生善治三冠-△永瀬拓矢六段
永瀬、初ハブ。
横歩取りから先手は68玉型。後手は84飛+52玉型で62銀とあがって右金を動かす前に28手目△75歩と早めの仕掛け(永瀬は、前週に飯島栄治七段戦で逆の立場でやられた作戦)。この戦果は、先手に88歩を打たせて、玉が狭い&堅く守れない状態にさせたこと。さらに飛車を28に後退させ27歩も打たせて、攻めも押さえこむ・・。序盤で大作戦勝ち。棋譜コメで永瀬六段言ってるように"横歩取りの後手の手得"を十二分に生かした仕掛けなんだろう。
羽生三冠は王座戦のときも68玉型で、その後も1回くらいあったか?そこを狙ってずばり的中ということか。ちょっとハマりすぎてなんだかなぁ〜という感想。

郷田真隆九段-△三浦弘行九段
郷田九段に序盤の構想ミスがあったようでみうみうの完勝。37手目▲45歩がボヤっとした手だったのかなぁ。飛車が25に釣り上げられて後手の飛車の立ち回りでポイントをあげられて。

11/7-8 第26期竜王戦七番勝負 第3局 ▲森内俊之名人-△渡辺明竜王

3戦連続阿久津流求線矢倉、竜王が意地でぶつけてきた。研究の成果は44手目△22玉。堅く深く守って、細い攻めをつなぎきる、竜王の信条のような将棋を実現した。棋譜コメ通り、76手目あたりは盤上に攻め駒は角金2枚、持ち駒に銀と歩4枚しかない。ほんとにつながるの?と心配になる陣容だった。終盤2回ほど間違えて難しくしてしまったようだが、玉型の堅さが生きて土俵際残した。113手目▲56桂が詰めろ逃れの詰めろ、のはずが、角を67ではなく69と裏から打てば即詰みというのもドラマ。

森内名人としては同じ戦型で2勝1敗だから不満はないだろう。次回は後手番だが秘策はあるのだろうか。少なくとも次々回の先手番ではまた何か研究の成果が出てくるはず。結局3戦連続で竜王が森内名人の研究を乗り越えるためにリソースを費やさざるを得なかったように、森内名人の手のひらで踊らされているような気がする。ここで変化するのが羽生三冠だろうけど、この2人は真正面から対峙し続けるように。そうなると森内名人の研究が勝るのではと。依然、森内ペースかと。

王座戦5番勝負が熟成したジューシーな甘くて濃厚な桃のような感じで、この竜王戦は大人の滋味あふれる通な逸品のような。第4局が楽しみ。まだ急戦矢倉だったら引く。

将棋電王トーナメント

最強の将棋コンピュータソフトを決める大会「将棋電王トーナメント」は11 月 2 日(土)から 4 日(月・祝)までの 3 日間、株式会社ドワンゴ本社の東京都中央区歌舞伎座タワー」で18ソフトにより行われ、「ponanza(開発者:山本一成氏・下山晃氏)」が優勝し、「電 王」の称号を獲得しました。
以下2位「ツツカナ」(開発:一丸貴則氏)、3位「YSS」(開発:山下宏氏)、4位「やねうら王」(開発:磯崎元洋氏)5位「習甦(しゅうそ)」(開発:竹内章氏)の順位になりました。

http://www.shogi.or.jp/topics/2013/11/post-863.html

プロ側が必勝定跡を探せるのではと予想する。ponanzaは負けなそうだが*1、それ以外で2勝はできるかも?もしかしたらソフト側がフリーズしたりして反則負けでもう1勝もらえるかも?
いずれにしてもプロが勝っても負けてもだからどうしたという思いは変わらない。ハードの制限が入ったことで将棋ソフトの神の一手なんて求めるべくもなく、もう"将棋ゲーム"とプロ棋士の戦いだな、と。これでプロ側が1勝とか全敗とかになったら次どうするんだ。

本日のモバイル中継

王将リーグ:豊島-佐藤康戦、竜王戦5組昇級者決定戦:佐々木勇-千葉戦、どちらも80手で終了。
前者は超急戦。こう持ち込んだからにはむしろモテペースだなと思っていたら、豊島勝勢からのモテミツ逆転。これは豊島もやるせない敗戦では。
後者、佐々木勇気は連続昇級での昇段もかかっていた。53付近を巡っての熱い読み合い。佐々木勇気はほんと鋭いようで、急に勝機を逃すような踏ん張りの利かなさもあって独特で不思議だよな。千葉の手厚い受けの前に崩れてしまった。

*1:いっせーさんはタッグトーナメントに続き優勝か