2010年ブリーダーズカップにおけるLife At Ten事件(その8)

規則違反とされた2人のその後(概要)

→John Velazquez騎手は(納得はしていなかったが、しぶしぶ)罰金1万ドルを払って終了。

→John Veitch上席裁決委員、いろいろともめる。先日も新たな記事が出てた。

John Velazqeuz騎手のその後(詳細)

ここらへんはJAIRSの翻訳記事が十分にあるので、その引用で片付けます。

ベラスケス騎手、1万ドルの過怠金支払いに同意(アメリカ)[その他]

ジョン・ベラスケス(John Velazquez)騎手は、ライフアットテン(Life At Ten)の2010年BCレディースクラシック(G1)への出走について自身に対しての訴訟を解決するために、ケンタッキー競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission: KHRC)に過怠金1万ドル(約100万円)を支払うことに同意した。

 ベラスケス騎手の弁護士により作成され、4月6日にKHRCにより承認された同意文書によれば、過怠金の半分は永続的障害者騎手基金(Permanently Disabled Jockeys Fund)に提供されるだろう。

 この同意は、昨年のBCレディースクラシックにおけるライフアットテンの凡走によりベラスケス騎手に対して起こされたKHRCの訴訟に終止符を打った。
(中略)
KHRCは 3月16日、ライフアットテンの状態についてESPNにコメントしたこと、自身の懸念を獣医師に報告しなかったこと、および適切な理由なしにレースでライフアットテンの手綱を緩めて最後まで全力で追わなかったことでケンタッキー州の競馬ルールに違反したとして、ベラスケス騎手に対し訴訟を起こした。
(中略)
 KHRCが同意書を承認した後、ベラスケス騎手は自身には何も非がなかったと引き続き主張する声明を出した。

 ベラスケス騎手は声明文において次のように語った。「私は今この出来事に終止符を打つことが競馬にとって一番ためになると断言します。私は2万1000レースに騎乗してきましたが、各馬の安全性は最優先事項であり、これからもそうあり続けるということを自信を持って主張することができます。長引く法的争いは競馬産業に良い影響を与えません。実際それは私たちが競馬に関する肯定的で素晴らしい全てのことから目をそらさせることになるでしょう。私は過去の12年間において競馬ルールを違反したことで言及されたことはありません。私はKHRCが言及した“嫌疑”に同意はしませんし、いかなる過ちも認めません。この解決策は競馬にとって適切であると考え
ています」。

(中略)
KHRCの専務理事であるリサ・アンダーウッド(Lisa Underwood)氏は、訴訟を起こされた直後にベラスケス騎手を担当する弁護士たちがKHRCと接触した件以外、結論がどう導かれたのかについての詳細を明らかにしなかった。

 著名な馬主でベラスケス騎手を担当する2人の弁護士のうちの1人であるマギー・モス(Maggi Moss)氏は3月16日のKHRCの決定に続いて、同騎手はスケープゴートにされたと述べた

2010年ブリーダーズカップには待機裁決委員不在(アメリカ)【開催・運営】

ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission: KHRC)の裁決委員が参加を断ったため、2009年にカリフォルニア州サンタアニタ競馬場で開催されたブリーダーズカップにおいてレース結果の確定と競馬ルールに関する即時の説明をメディアと大衆に提供するのに役立ったプログラムは、2010年においては実施されなかった。

 競馬開催執務員認定プログラム(Racing Officials Accreditation Program: ROAP)は、ケンタッキー州の裁決委員が参加に反対したので、チャーチルダウンズ競馬場で施行された2010年ブリーダーズカップに“待機裁決委員(on-call steward)”を派遣しなかった。待機裁決委員は、レースに対して決定を下さないが、裁決委員の決定をファンとメディアに説明したり競馬ルールを明確にしたりする連絡係としての役割を果たす。

騎手のレース前の懸念は時として無視される(アメリカ)[その他]

エクリプス賞受賞騎手であるギャレット・ゴメス(Garrett Gomez)騎手がキーンランド競馬場クレーミング競走の返し馬で、ストリームオブゴールド(Stream of Gold 9歳・愛国産)について懸念を表明したことがあるが、ケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission: KHRC)は騎手と競走馬の安全性に無頓着であったと複数の騎手は述べている。ゴメス騎手は騎乗を辞退したが、KHRCの獣医であるブラッド・ベンツ(Brad Bentz)博士はG2勝馬である同馬の出走を容認した。ゴメス騎手に代わりヴィクター・レブロン(Victor Lebron)騎手が騎乗することになったストリームオブゴールドは、凡走し7着に終わった。同馬はそれ以来、3月12日現在まで再出走していない。
(中略)
ゴメス騎手は次のように語った。「私が考えたことは、もしストリームオブゴールドが落馬事故を起こしたら、2〜3頭の後続馬が故障するか予後不良になったかもしれない、あるいは2〜3人の騎手が怪我をするか亡くなっていたかもしれないということです。私たちは出走直前の馬に関わる人間です。競走馬はどの段階においてもよくチェックされているかもしれませんが、パドックや馬道において悪い出来事が発生することもあります。最終段階の馬の状態判断をするのは私たちの仕事です」。
(中略)
ニューヨーク州の他いくつかの州は騎手が騎乗を拒否した場合、馬の出走除外を義務付けている。騎手組合(Jockeys’ Guild)はこのルールが一般的なものになるべきであると考えている。
(中略)
ゴメス騎手が騎手の懸念は適切に扱われるべきであると発言した10月23日のキーンランド競馬場での会議を受けて、同競馬場は騎手が返し馬の時に要求すれば馬を出走除外にすることを義務付ける開催に関する内規を施行した。ゴメス騎手は、調教師の多くがレースの前に馬に関してすべて良好であると確信しているかどうかを騎手に積極的に確認していると付言した。

次回はJohn Veitchのその後についてです。

(次回へ)