2010年ブリーダーズカップにおけるLife At Ten事件(その9)
John Veitch上席裁定委員のその後(詳細) ※現在も継続中※
→2011/11/28に理由なく解雇される
→201/12/14に調査レポートが提出され、1年間の停職処分を勧告される
→2012/2/15にKHRCにより停職処分が承認される(2/16から1年間の停職)
→2012/4/11に裁判所により停職処分の差し止めが決定される
→2012/8/1(予定)に公聴会が開催される。
2011/6/28〜6/30 行政審判
ヴィーチ裁決委員、ライフアットテン事件での対応を弁解(アメリカ)[その他]
- 6月28日〜30日の3日間の行政審判で、ケンタッキー州の上席裁決委員であるジョン・ヴィーチ(John Veitch)氏は、自身がライフアットテン(Life At Ten)の事件に関して競馬ルールに違反したというケンタッキー州競馬委員会(Kentucky Horse Racing Commission: KHRC)の訴えについて、自らの立場を主張した。
- ベラスケス騎手は2011年4月、ケンタッキー州の競馬ルールに多少違反したかもしれないと認め、問題を解決するために1万ドル(約90万円)の過怠金を支払うことに同意した。そしてこの額の半分は慈善事業に寄付された。しかしヴィーチ氏は、この訴訟によって自身の名誉と評判が危険に晒されていると述べ、解決に向けての話し合いをすべて拒否していた。
- ヴィーチ氏を担当するトム・ミラー(Tom Miller)弁護士は6月30日、ロバート・レイトン(Robert Layton)審査官に対し、捜査でヴィーチ氏の裁量濫用の証拠が完全に欠如しているとして訴えを棄却するよう申し立てていた。レイトン審査官はこの申し立てを拒否し、結論が出されるまで数ヵ月を要すると述べた。
- ヴィーチ氏は、「私の論拠は、裁決委員は獣医学あるいは医学的な意見について獣医師と連絡を取ることは決してないということです。私たちはそのように訓練を受けておらず、それは私たちの責任分野ではなく、州の獣医師の責任分野です」と語った。
- この点は長期にわたる審問の間、複数回繰り返された。ヴィーチ氏はまた、テレビ局が放送予定を説明するブリーダーズカップ前の会議に今回初めて裁決委員は招集されなかったことを指摘した。馬場入り後のベラスケス騎手に対するESPNのインタビューが、レース発走前のライフアットテンの状態をめぐる議論の火付け役となったことは明らかである。
- ヴィーチ氏は、競馬運営事業に関してKHRCのリサ・アンダーウッド(Lisa Underwood)専務理事との間には軋轢があったと述べた。
2011/11/28 Veitchが理由なく解雇される
ケンタッキー州のヴィーチ裁決委員、理由もなく解雇される(アメリカ)[その他]
- ヴィーチ氏のトム・マイラー(Tom Miller)弁護士は、KHRCを監督している州の公衆保護庁(Public Protection Cabinet)*1から“ヴィーチ氏はもはや勤務する必要はない”と記された書簡を本人が受け取ったことを認めた。また、その書簡にはヴィーチ氏が理由なしに解雇されたこと、つまり州人事委員会に対して訴訟を起こす権利がないことが記された。
- 解雇はただちに実施されたと述べた。
- 同弁護士は、ヴィーチ氏があらゆる法的手段の行使を模索していると述べた。また州の公衆保護庁の仲裁人選定者であるホリー・マッコイ-ジョンソン(Holly McCoy-Johnson)氏からの書簡という形で告げられたが、今回の解雇は、そのタイミングの点で興味深いと付言した。
- 審査官がこの夏ライフアットテン(Life At Ten)の状況について行われた調査と審問を基に報告書作成の真っ最中に、この措置はとられた。州エネルギー・環境庁行政審判局の上席審査官であるロバート・レイトン(Robert Layton)氏は、この夏に行われた3日間の審問を基に報告書を作成中である。11月初めにレイトン氏は報告書を仕上げるために30日間の延長期間を要請し認められていた。
- ヴィーチ氏はこの件に関して何も落ち度はなかったと語り、自身に対して下された措置は、KHRCの専務理事リサ・アンダーウッド(Lisa Underwood)氏との間の懲戒案件を巡る確執による面もあると述べていた。
- アンダーウッド専務理事は10月、ケンタッキー州レキシントンの法律事務所のパートナーとなるために11月16日にその職を退くと発表していた。
2011/11/30 Veitchが解雇に関して不服申立て
2011/12/14 6月の行政審判に基づきVeitchに対する処分レポートが公開、Veitchは1年間の停職処分に。
Hearing Officer Rules Against Veitch
http://www.bloodhorse.com/pdf/2011_12_14_RECOMMENDED_ORDER.pdf
- 審査官Laytonのレポートが発表。Veitchは5つの規則違反があり1年間の停職処分とするよう勧告。
- レポートによると、
- レース前に獣医に連絡するのを拒んだ初期のミスが重大であった
- レース後にLATからサンプルを取得する指定せず、さらに調査をすること2日間拒んだ
- レース後のVeitchのその行動は彼が間違いに気づいていたことを示す。
- Veitchの規則違反によりLATの凡走の原因は完全に解決されることがなくなった
- 6/28-30の公聴会でVeitchの証言が他の証言者と多くの部分で矛盾を起こしていたことで、Veitchの証言の信ぴょう性に疑問が持たれた
- Veitchの弁護士Tom Millerは、既に解雇されているのでレポートの内容は軽微である
2012/1/4 Veitchが解雇について不服申立て
2012/2/15 KHRCが1年間の停職処分を承認
Kentucky Commission Upholds Veitch Suspension
http://khrc.ky.gov/Lists/News%20Releases/Approved%20KHRC%20Minutes%20of%20Feb.%2015,%202012.pdf
- KHRCはJohn Veitchに対する1年間の停職処分を支持し、満場一致で可決。2/16から停職は開始する。
- 他の州も互恵協約に基づき、この決定を承認する(だろう)
2012/2/17 Veitch、停職処分への対抗を予定
Veitch to Appeal One-Year Kentucky Suspension
- John Veitchの弁護士は、KHRCの1年間の停職処分の決定に対して不服申立てするだろうと。
2012/3/12 Veitch、停職処分について巡回裁判所へ訴える
Veitch Seeks Reinstatement as KY Steward
- Veitchは復職および1年間の停職処分の棚上げを求め法的書類を提出
2012/4/11 巡回裁判所、停職処分の中止を決定
Judge Grants Stay of Veitch Suspension
- Flanklin巡回裁判所は、停職処分の中止(stay)を認める
- 他の州で裁決委員の職を積極的に求めることが可能になる
- ただしその他の申し立てについては裁判所は特に何も対処していない。
2012/7/23 巡回裁判所、停職処分について公聴会開催を決定
Hearing Set on Veitch's Appeal of Suspension
- 巡回裁判所は、1年間の停職処分撤回を求めるVeitchの要求に対して公聴会の開催を予定した(当初7/30だったが8/1に変更)
- なおこの時点までに、Veitchは法的費用で11万ドル以上、その他の費用で5000ドルを費やしている。
*1:KHRCは公衆保護庁の傘下の1組織である http://dpp.ky.gov/NR/rdonlyres/E61AE862-6714-4D84-9847-A8570608337C/0/PUBLICPROTECTIONorgchart070209.pdf
*2:分類された従業員:地位に対して認定を義務付けられていない地元地区の従業員。 "Classified employee" means an employee of a local district who is not required to have certification for his position as provided in KRS 161.020; and http://www.lrc.ky.gov/krs/161-00/011.pdf