第6回朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝

2/9 第6回朝日杯将棋オープン戦 準決勝

羽生善治三冠
渡辺明竜王
戦型:相横歩取り△84飛

藤井九段、ハナから解説を諦めるw
ある意味、棋士の伝統芸ですからね、専門以外の解説をするときの諦めは。
ほーこう指すのですか、なんて言ったら、基本手筋なんです、と言われるかもねと、まったく知りませんアピール。

公開対局でのゴールデンカードと華やかな対局だったが
渡辺竜王が一方的に圧倒する展開になってしまった。36手目△38歩の垂らしで時間を作って1筋の端攻めに向かう。
43手目▲75歩からの△85桂は先手の損。後手が望む角交換に誘導され、1筋も危険にさらしてしまった。一手の価値が大きく、瞬間的に形勢が傾く横歩取りの恐さが見えた一戦だった。

竜王の勝利。

2/9 第6回朝日杯将棋オープン戦 準決勝

菅井竜也五段
谷川浩司九段
戦型:相振り飛車(▲三間飛車△向かい飛車)

谷川九段は相振り飛車が意外と得意と何かで読んだ記憶があり、藤井九段もそんなことを言っていたように思う。だが谷川九段曰く、今や実戦以外で将棋を指す事のない立場の人間と、毎日20-30局指しているらしい若者との研究量の差*1を懸念していたようで、30手目25歩の継ぎ歩から鋭く切り込んでいった。
対して二十歳の新鋭は47手目57金〜56金と中央を手厚くして押圧する。藤井九段は「19歳(本当は20歳)なのに将棋は老獪。将棋年齢は若くない*2」と評す。
56手目△55歩からの仕掛けは谷川流。藤井九段はもちろん読めなかった。58手目△77歩成が64手目△76角に連携し、8筋を突破。
菅井五段の反撃。73手目▲73銀がもったいない手順で勝負の流れを寄せ損なった。
そして最終盤は谷川光速流が空振る。谷川九段、終局後だけでなく決勝戦大盤解説にワンポイント登場されたときも悔しがっていたが、99手目▲18玉と菅井五段の好判断の逃げに対して△27銀打▲同銀△68飛成とすべきだったようだ。これなら6筋の龍の効きが攻防に利く。本譜は101手目▲28歩が絶品だった。これで先手玉は寄らなくなり菅井五段の勝利


飛車に当てる33手目▲26歩と▲27歩ではどちらがよかったのだろうか。

51手目98香に藤井九段は、今指す手なのかと疑問を持って、上がらないほうがいい、いつか飛車で取られると言っていたが、ほんとにそうなったw ここは経験値が多いのだろう。

"バンザイ銀冠"なる表現は当日の最大のヒットだろう。27銀と上がる所で金が離れ駒になる状態、それがバンザイ。ここうまく切り分けないといけないのが、決勝戦でも菅井五段が83銀とあがる場面があったが、ここでは離れ駒は出ない。よって両手があがってバンザイではなく、片手だけあがった状態なのでオッス銀冠だそうだw 藤井九段は当代随一の研究家であり理論派だが、そう言われる所以として現象を言葉に置換できる才能に優れているのかと。そこに独特のユーモアが加算されるから、根強いファンが生まれるわけで。

2/9 第6回朝日杯将棋オープン戦 決勝

渡辺明竜王
菅井竜也五段
戦型:ゴキ中vs超速▲37銀

ゴキ中vs超速▲37銀と言っても、羽生三冠曰く昭和の将棋みたいですよねという将棋。長い長い駒組みで70手を超えても歩しか交換していなという。膠着状態のため、竜王にしては珍しいですよね(藤井九段)という5・6筋で位を取り、かつ薄い玉型に。見ようによっては四間飛車vs5筋位取りのような陣形ながら、でも5手は手損というコメント。

後手はできれば穴熊に組みたいが、さすがに咎められる。両者動きにくい状態にあったがさすがに駒組みも飽和して64手目△54歩からお互い歩を突き合って開戦。

ところが73手目▲24歩からの▲22歩で急に勝負が決してしまった。菅井五段、思わぬ見落とし。終局後、対局者それぞれに最後のコメントを求めた際、菅井五段は最初は当たり障りのない内容で締めようとしていたように見えたが、やはり相当に悔しさというか不甲斐なさを感じたのであろう、言葉に詰まってしまった。おじさん、青年の気持ちを思うと萌えてしまいましたよ。いいもん見せてもらった。帰ってから勉強したのかな。

竜王が朝日杯初優勝。

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ゴキ中は細かいことを気にしない人が指すものと藤井九段。自分は細かいので四間飛車のようだw 人柄はいい意味でいい加減だけど将棋は繊細ですからね、間違ってない。

43手目▲77桂は、竜王は指さないでしょうけどと藤井九段は何度も念押ししたけど跳ねたw このブレブレ加減が藤井解説の見どころ。永世解説名人の木村一基八段や、好き嫌いはあるだろうけど言い切りが清々しい鈴木大介八段のような正統派解説と違って、主に会場に笑いをもたらすための解説。

44手目△53歩は菅井流の重厚な棋風なのだろうか。

終盤では藤井九段が読んでいた64歩が速かった。当日まで3連敗中だったが、少しまだ歯車合わないか。寄せがいまいちだった。95手目▲32歩とか105手目27歩とか早指しということもあるのだが、すげー手だなと。

*1:休日に『菅井ノート』なるものを買い込んで読んだ・・と言っていたw

*2:ここで上田女王が実年齢より将棋年齢が高いことはあるんですか?と。藤井九段はたくさん指していれば、と。そこで上田女王が、菅井五段はネット将棋で日に20-30局、年間1万局を指しているという噂が・・という話になった。将棋界特有の白髪三千丈だろうが、そんな気もしている