今週の将棋(3/21-24)

3/23 第2回 電王戦 第一局

▲阿部光瑠四段
△習甦
戦型:先手一手損角換わり

18歳の朴訥な俊英が大役を果たしましたね。
開発者の竹内氏が心身ともに男前で事前のソフト提供をしていたそうで、阿部四段は1日4時間(!)の研究を重ねていたとのこと。弱点も見つけて対策は十分。無理攻めを誘い出して、全くの同じ局面というわけではないにしても自信の持てる局面を作った。花粉症で風邪も引いていたということで何度も席を外していた。自分の勝敗だけがかかっているのではなく、緊張感も並大抵のものじゃない。いつも通りに指しきることの難しさはあっただろう。大物ですな。前会長の人を見る目には感服。

ソフト側の指し手代理は奨励会初段の青年で、投了時にお互い無意識に礼をしたけど収まりが悪く角度の浅い礼をペコペコしてたのが微笑ましかった。そっち系の趣味はないが、阿部四段、実にかわいらしい。

やっぱりソフト提供は棋士側に有利に働くように感じた。ある程度の時間があれば棋士がソフトの穴を見つけられるように思う。仮に棋士がソフトに勝った棋譜を開発者に渡すことにしたとしても、短期にソフトを修正することは困難ではないか。対戦棋士向けに特殊ロジックを入れる意義はないだろうし、かといって評価関数をカスタマイズすることは無茶な話だろう。開発者側が今回の電王戦を、素の棋力測定とするか、改善の余地を探り出すためのきっかけとするかで提供する/しないは考え方次第でいいかと。ただ一発勝負で棋士が勝った、ソフトが勝ったと一喜一憂してもそれはあまり意味がないと思う。ソフトは棋士のレベルにかなり近づいたと言っても、棋力の優劣は1回2回の勝負で判断できるとは思えない。ソフトがより進化するためにはソフトは提供した方がいいと思うし、棋士にたくさん穴を見つけてもらう方が今後の発展に資するのではないかな。
大前提として電王戦が第3回以降も続くことが必要になりますが。

3/24 第38期 棋王戦 第4局

渡辺明竜王
郷田真隆棋王
戦型:角換わり腰掛銀

△92香から約1時間の長考の末に▲45歩で一直線に仕掛ける。
先手は▲58金で割り打ちのありうる型、後手は42金でなく△43金で金矢倉。
そこから▲53桂成〜▲71角の両取り。崩してから飛車銀取りの▲63金や、▲23歩成から玉頭攻めとシンプルな攻めで自然な流れ。ここから双方のねじり合い。
68手目に△24歩で飛車を受けるのではなく、△36馬で一歩拾いつつ飛車に詰め寄るのが正着だったと。わからん。
75手目コメントでひふみん、てんてーは後手持ち、片山六段はそうなのかと驚き。
しかしまあ後手玉はほぼ裸なのに意外と寄らない形。でも131手目▲17飛までくればほぼ決まり。148手目△33飛打、しがみついたが。
竜王が自身初の三冠獲得。来るべき時代が来た。