今週の将棋(3/26-3/30)
電王戦第2局が最大の注目でしたが今週は週中の将棋も面白かった。
3/26 第54期 王位戦 挑決リーグ白組
竜王を徳俵まで追い込んだけど、二歩。
凄まじい終盤戦だった。
竜王は穴熊から飛車を追いかけて金が五段目に進出、さらに▲86歩から陣形を盛り上げていった。先手は攻め駒を捌いたが、上ずった陣形のやわい下腹部をえぐられて104手目△79と あわやの場面になってからが注目。105手目▲94桂打から始まる長い長い寄せ。よく考えるもんだ。お互いがすごい。最後は二歩がなくても寄っていて先手勝ちだったらしいが。
3/27 第26期 竜王戦 2組
▲松尾歩七段
△鈴木大介八段
角交換から△53銀と上がって向かい飛車というはずだったか。
でも先手が飛車先交換から△33角の両取りが、▲77桂〜▲68玉で何のこともなかったというオチ。研究熱心な大介らしい負け方。この出オチ感、好きだな。39手で投了。
A級順位戦最終局の▲深浦-△モテミツ戦では▲48銀型から飛車先突いた後に▲23角だった。最後は深浦負け。将棋は恐いねぇ、一手の違いで終わってしまうのだから。
3/28 第26期 竜王戦 1組
棋譜コメントにあったように前期は決勝トーナメントでぶつかった2人が今期は負けたら降級の一戦を交えることになった。
序盤は定跡型で順当に進んでいたが・・、23手目▲28飛と引いた。先手は、飛車先は開いているが初期配置から2手しか動いていない形だから手損とかの次元でなく。
優劣不明な力戦が続き、素朴な▲63桂が流れを呼び寄せて山崎七段の勝利。
3/29 第84期 棋聖戦 決勝トーナメント
序盤で角桂交換で先手が駒得。
中村六段の攻めが快調で龍切りや2枚角での猛攻など気分よく攻めきってベスト4進出。2年連続の挑戦権獲得が見えてきたか。
3/30 第二回 電王戦 第2局
▲ponanza
△佐藤慎一四段
9:40頃から番組終了までの約12時間見入ってしまった。
どこから触れるべきか。公開の場でプロ棋士がソフトに初めて負けた。第一回電王戦の頃から非公開の場でプロは負けていたから別にサトシンが特別弱いわけではない。プロ棋士は実力的に劣るはずのアマにも女流棋士にも負けているのだから、一発勝負であればプロレベルかアマ高段レベルか。それくらいの実力はあると考えらるソフトにいつか負けるであろうことは鉄板の未来だった。衆人環視のもとの出来事だから不名誉といえばそうなるのかもしれない。ニコ生での山口女流の涙は共感できるし、サトシンと私的な交流のある野月七段の声がかすれたこともわかる。サトシンにこの役を与えたくはなかったとは思う。サトシンが最初の1人になったことはただの偶然であって、彼個人を批判する意味はわからない。羽生三冠や渡辺竜王がソフト相手に持ち時間4時間で1000回戦って1回も負けない可能性があるかと想像すると、全勝はないだろうと思う。だからここぞとばかりに人間性含めて罵倒する人は別にサトシンでなくても罵倒するわけで、彼らに合理的な理由はいらない。
記者会見。サトシンの深い自省の念がつらかった。ヒール役を買ってでた山本ポナ氏からは棋士に対する尊敬の言葉が聞かれた。自身、アマ五段でしたか、それだからわかることが多いのだろう。
自分は今後もプロ将棋ファンだと思う。途中休んだりすることもあるかもしれないが、いつも戻ってきてしまう。強さ弱さは最善手を選択し続けられるかという一点だろう。奇しくもサトシンの言った、人間は線で、ソフトは点で考えることが何よりもの違いだった。評価関数はまだ怪しいが、安定して価値の高い一手を指すことができるのがソフトの強み。サトシンが優勢をモノにしようとした場面で怯んでしまった。ここが人間の弱み。
かつて竜王は、竜王戦6組で優勝争いできたらプロレベルと認定してよいのではと言っていた。もうそろそろどこかの棋戦でソフト枠を作ってもよいはずだ。賞金を配分すべきかどうかは難しいが。まだソフトに人間は突き放されていないようなので、競い合わせてみたい。ソフトがタイトルを獲得するようになったら別枠でいい。ただ電王戦のように代理の指し手がいるのは間抜けなので、まずはネット棋戦の大和証券杯が適当かと。