先週の将棋(4/1-4/6)

日々忙殺されてメモする余裕もなく。

4/6 電王戦 第3局

船江恒平五段
△ツツカナ

人間優勢の時間帯に外出して、夕刻のモバイル中継では形勢逆転と。
そこからはリアルタイムでは追えなかったが、ソフト相手に分岐が限定的になった中終盤での逆転は困難かと負けを確信しても、なお船江恒平を信じていた。

この敗戦をどう捉えるか。言葉がまとまらない。

ツツカナ開発者の一丸さんからほぼ最新verを貸与してもらって万全の対策をしたのが、プロキシの中でもかなり上位の若手だから、ソフト持ちの方面でも一番勝つ確率の高い人類と言われていた。自分もここは負けないだろうと思っていた。

ソフトが確率的に有意なサンプルでもって確からしい評価値を算出できる局面では、まさにプロ棋士の最善の読みを指せるようになっているわけで、人間と違ってブレなく好手を繰り出す確率が高いのだから負けにくいに決まっている。
名人戦竜王戦の指し手をソフトにかけて分析するのは今や普通の風景だが、電王戦の結果からますますソフトへの信頼が高まるわけで、名局かどうかはソフトの評価値で語られる日がきてしまうのかどうか。最高位の戦いですらそうした視点で興ざめな気分にさせられてしまうのは寂しい。

ただソフトは人間の棋譜をトレースしているだけなので、それはそれで詰まらないし、進化の壁にぶつかるのではないか。つまりプロ棋士のトップと互角に並ぶまでで終わって無敵にはならないのでは。新手や新定跡を誕生させるような進化をさせていけたら面白いが、開発者でも現状のソフトの強さを理解できないのに、そんな未知な道を歩ませたらそれこそモテミツ流未来派変態将棋が生まれるのかもしれない。逆に人間としては変態将棋がソフト対策になるのかもしれない。あと急に船江五段側に評価値がプラスになったときにニコ生で鈴木大介八段が、将棋はこんな簡単なゲームだったんですか、と言ってたようにまだ評価値やアルゴリズムは微妙な部分があるようだ。ここは読みの深さを限定していることに起因しているならハードの問題なのかもしれないけど。

今回の電王戦でもうプロ棋士側の勝ち越しの目はほぼ消滅した。三浦八段も負けたりしたら、第3回電王戦はてんてーとか久保九段とか行方八段あたりを担ぎあげないと盛り上がりに欠くことになるかも。もしかして羽生三冠か渡辺竜王じゃないとダメか。そろそろ一般棋戦にもソフト枠を設けて、それでソフトが優勝するようなことがあったら、そこでプロ棋戦からソフトを完全分離して、プロ棋士上位5人が年に1回電王戦で対抗戦をするような形式でいいんじゃないか。羽生三冠が45歳までにソフトと戦ってもらいたいので約3年以内には実現してほしいところ。